3月15日時点のバランスシート状況についての報告ですから、そのタイミングからシリコンバレー銀行・シグネチャー銀行の2行の破綻処理に必要な資金を調達したものと考えられます。
FDICは銀行から預金保険料を徴収し、それを積み立てた基金から預金保護に必要な資金を拠出するのが基本ですが、今回は外部からも資金を調達したことになります。
FDICは基金拠出では賄えない事態には、銀行から追加徴収し、それでも足りない場合は米財務省との間に設定しているクレジットラインを利用して資金調達するとこれまで説明してきています。
財務省クレジットラインの利用に制約はないのですが、深刻な事態であると預金者が受け止めるので、よほどの状況でなければ利用できないとされています。
FRBから調達したこと自体は何ら問題はないのですが、問題は利用しなかった財務省のクレジットラインです。
今後銀行破綻が続いて利用したい局面がもし到来した場合、現状では利用したくとも利用できません。
クレジットライン利用は、財務省が米国債を発行することで得た資金をFDICに回金することになりますが、現在は債務上限に到達していることから米国債を新規発行することができず、したがって財務省からFDICに資金供給することができません。
FDICは財務省以外の資金調達方法を検討するでしょうが、財務省が何もできない状況にあるというのは、信用不安が拡大して金融危機がもし発生すれば由々しき事態です。
前回の金融危機では財務省とFRBがタッグを組んで強力な対策を次々と打ち出しました。
債務上限問題が解決しない状況で金融危機を迎えることがあれば、政府でなければ打てない対策は実行できず、限られた権限しか有していないFRBが単独で対処することになりますから、危機対応は困難なものになるであろうと予想されます。
金融危機という国難に直面すれば債務上限問題など直ちに解消させると考えたいところですが、銀行救済のために国費を投入することは許さないと共和党が言い出すリスクがあり、この問題の行方は引き続き注視していく必要があります。


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