その中で世界の債務レベルに関する警告が発せられています。
先進国・新興国と経済水準に関係なく債務レベルが上昇を続けており、2008-2009年の金融危機の頃を上回る水準となっています。
コロナ対応で公的債務が膨らんだことが最大の要因です。
これらの国々のうち低所得途上国の6割が債務危機に陥っているか陥る寸前の状態にあると分析されています(2015年から倍増)。
2020年のG20決定によりこれらの国々に対して債務の一部免除が行われたものの、2021年で制度が終了したことや、その後の金利上昇やウクライナ戦争の影響もあって状況は改善していません。
つまり、債務デフォルト予備軍はいくらでも控えているということです。
過去10年ぐらいで公的債務の引き受け者の主体がパリクラブから中国に代わっています。
救済においても債務国はIMFよりも中国を頼るようです。
IMF融資のほうが遥かに低利なのですが、代わりに様々な条件を付されることを嫌っているものと考えられます。
それらの条件は経済・政治体制の見直しを迫るものが多いだけに、権力者やその支持者たちにとっては権力やカネの源泉を削がれることを意味するため、応じ難いと敬遠することになります。
また、IMFの政策は経済の縮小均衡を目指すことが多いため、うまくいったとしても生活が苦しくなることから評判が悪いという面もあります。
その結果、高利であっても余計な注文がつかない中国マネーが好まれることになります。
スリランカ支援でも最大の債権者は中国であり、外貨建て債務の2割近くの資金を提供しています。
Public Debt Summary - As at End 2022
この構図ならば中国が支援枠組決定の主体となり、他の債権国と協議しながら進めていくという方向性になるはずですが、実際にはそうなっていません。
現実には、中国が債務再編協議に応じる姿勢を見せないため、中国抜きで協議が進められています。
スタート地点から足並みが揃わないことで各国の不満が募るだけでなく、中国を除く債権国が債務免除の措置に踏み切れば免除された債務額はその分だけ中国の債権の保全に資することを意味するので、各国は苦々しく思っていることでしょう。
また、支援の一環として追加融資を行うことが多いですが、中国は追加融資も渋る姿勢を見せているようです。
債権保全の一環で行う追加融資は債権者にとってもメリットがあるので、追加融資を渋るのは経済的合理性に欠けるはずで、中国の姿勢は不可解です。
中国の融資は債務国のインフラや資源を入手するための手段とする見方もあります。
融資した資金が回収できるならばよし、回収できなければ対価としてインフラ・資源を抑える。いわゆる『債務の罠』です。
中国はこのような意図はないと否定していますが、債務国に対する影響力が大きいことは間違いありません。
この考え方ならば、追加融資はインフラ・資源を入手できる時期を遅らせることになるので政治的合理性がなく、追加融資を渋る姿勢の説明がつきます。
ただし、中国が単独の債権国であることが条件となります。
スリランカのように債権国が複数いる場合、中国抜きで債務再編を実現させると、中国は望むものを手に入れられず、他の債権国との関係を悪化させるだけという無意味な行為になってしまいます。
また、スリランカのケースでは中国の融資については2年間の支払い猶予を認めたので、資産差し押さえを急ぐ様子も見せていません。
もう一つの見方としては、中国の銀行システムが想像以上に弱っていて、追加融資するだけの体力が残されていないというものです。
実は中国は救済のための融資はあまり行わないものの、通貨スワップ協定を通じた外貨調達支援は行っており、近年その規模が膨らんでいます。
China grants billions in bailouts as Belt and Road Initiative falters
中国の銀行が融資に応じるだけの体力がないものの、債務国の破綻により銀行が打撃を受けるのも困るので中国政府が外貨調達をサポートすることで延命させようとしていると考えられます。
スリランカに2年間のモラトリアムを与えたこととも整合性があります。
国内不動産問題で中国の銀行が弱っているのは周知の事実ですが、この見方を前提に考えると不良債権が相当積み上がっていることになります。
救済が必要な債務国が拡大するほどに、その影響は中国に飛び火することを意味します。


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