US and Israel launch massive attack on Iran
イランの核開発を阻止するためというのが口実ですが、イランとは交渉中であったのですから唐突感は否めません。交渉は建前で、端から攻撃するつもりであったと見られても仕方がない展開です。
ベネズエラ攻撃の時と同様に表向きの理由とは別に、利権狙いの可能性もあります。
イラン最高指導者であるハメネイ師の殺害に成功したとトランプ大統領はいち早く宣言し、イランもそれを追認しました。
師の動向を把握したうえで、執務場所にミサイルを30発撃ち込んだということですから、師の周辺からの情報漏洩があったことと、オーバーキルも甚だしいことから師の殺害が本作戦の最大目標であったことが分かります。
Ayatollah Ali Khamenei, Iran's supreme leader, is dead, Trump says
おそらくは、独裁政権のトップを取り除けば米国の言いなりになる体制に転換できるというベネズエラ攻撃の成功体験を当て嵌めて考えたのでしょうが、果たしてハメネイ師を殺害したことで親米寄りの体制転換は思惑通りに実現するのでしょうか。
イランは諦めない
まず考えなければならないのは、イランは独特な国家体制を敷いていることです。
簡単に言えば、イランでは宗教が国家の規範であり、政治はそれに従属するものでしかありません。大統領は行政のトップにすぎず、国家の重要事項の最終判断は宗教のトップである最高指導者に委ねる体制となっています。軍隊にしても、大統領が指揮するイラン国軍と、最高指導者が指揮する革命防衛隊の2つがあるため、最高指導者でなければ双方を統制することはできません。
その最高指導者が殺害されたことで権力の空白が生じています。
ペゼシュキアン大統領、モホセニエジェイ司法府代表、アラフィ師の3人で構成される臨時評議会が発足し、暫定的に集団指導体制で当面国家運営が為されることが表明されています。
問題は、臨時評議会は次の最高指導者が選出されるまでの暫定措置にすぎず、最高指導者ではないということです。
それは、ハメネイ師の遺志に沿った運営であるかぎりは問題ないですが、遺志に反するとみられる判断はできないことを意味します。
米国による攻撃は予め想定されていたことですから、ハメネイ師は報復の方針を周囲と確認していたとされていますので、戦いを続けることはその方針に沿うので維持されますが、戦いを止めることはハメネイ師の方針に反することになるので宗教上の離反と見なされる可能性もあり、暫定体制下では採用することはできません。
つまり、新たな最高指導者が決まらなければイラン側から戦いを止めることは困難であるということです。
イラン外相が最高指導者の選出は数日中に行われる可能性があると表明していますが、暫定体制では国家運営がままならないことを表しているのだと思います。
次期最高指導者を選出する専門家会議は88人のイスラム法学者で構成されますが、戦時下で全員が集まって最高指導者を選ぶことが果たしてできるのでしょうか(そもそも全員が存命なのでしょうか)。
結局、新しい最高指導者の選出に時間が掛かり、その間戦闘が否応なく続くことになるのではないでしょうか。
もちろん、このような状況を嫌って、革命・クーデターによって実権を奪取しようとする者が現れる可能性もあります。しかし、その場合、国を蹂躙する米国と仲良くしようと考えるでしょうか。引き続き強硬な反米主義者が台頭するだけではないでしょうか。
イランを屈服させることが米国の目的であるならば、ハメネイ師殺害は悪手であったと言わざるを得ません。
国際法だけでなく国内法でも違法状態
一国の都合で他国を攻撃することは国際法違反であることは言うまでもありません。戦いが長引けば弱い者いじめの様相が強くなるので、米国やイスラエルに対する非難が強まることになるでしょう。
国際世論を気にかけないイスラエルはともかく、米国も同じスタンスを取るのでしょうか。本当の意味で孤立することを目的とするならば最善手かもしれませんが、国際社会のリーダーであり続けることを望むならば悪手です。
国際秩序の守護者だからこそ米国を支持していた国々は、国際秩序の破壊者に変わった米国を積極的に支持するとは考えられません。
イランが戦いを長引かせると、米国内においても問題が生じます。
「戦争」ではないと強弁するために、ベネズエラ攻撃の時のように短時間で作戦が終了する想定でトランプ政権は動いていると思われますが、戦いが長引くと戦争ではないと言い訳することが難しくなります。
戦争を行うにしても国際法だけでなく米国法でも踏むべきプロセスがあり、トランプ大統領はこれらをすべて無視しています。
大統領はすべての法律を超越しているとトランプ大統領は考えているためプロセスを踏む必要性を感じていないのだと思いますが、米議会の承認を得るという重大かつシンプルな手順すら無視したので、これは民主党議員だけでなく共和党議員も今後問題にしていくと考えられます。
近年において議会承認なしで戦争に踏み切った大統領は、湾岸戦争時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領まで遡ります。当時の国内外の世論も戦争を支持していたので、なぜ承認プロセスを無視したのかは謎ですが、息子のジョージ・W・ブッシュ大統領がイラク戦争時に議会承認を得たことで違法状態は解消されました(この違法状態解消が実はイラク戦争の隠れた目的だったのではないかと考えています)。
今回も議会承認を得られた可能性は十分にあったので、それにも関わらずプロセスを無視して議会軽視したことで米首都でも敵をさらに増やしたと考えられます。
支持率低下
戦争を始めたことで、民主党支持者にとっては更にトランプ大統領を支持しない理由が一つ増えただけですが、共和党支持者や浮動層にとってはどうでしょうか。
イランを攻撃する必要性についてのトランプ大統領の言い分を恐らくは信じるので、イランを叩くことには賛同するでしょう。それでも、米国から遠く離れたところで戦争を始めたことにはベネズエラ攻撃の時と同様に不満を抱くと考えられます。
ベネズエラ攻撃のように短時間で終われば忘れ去ってしまうでしょうが、戦いが長引くほどに不満が膨らみ、トランプ大統領の支持率は下がっていくと考えられます。
中間選挙に向けた支持率向上策として戦争を始めたならばやはり悪手です。
昔は戦争で支持率を上げることができましたが、ネット時代では寧ろ逆効果でしょう。
トランプ大統領は結局何を達成したいのでしょうか。


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